初めての編み物 Vol.2 ライター及川壮也さん インタビュー編

先日、KOGANEのカシミヤマフラーを編み上げた及川さん。
思うようにいかないもどかしさや、失敗の悔しさもあったそう。
それでも編み続け、ついに完成へ。

編み物へ対する思いや約5か月にわたる挑戦について、あらためてお話を伺いました☺

― 編み物をやってみたいと思ったきっかけは何でしたか?

橋本治さんが自分にとって憧れの人で、彼が80年代にに編み物男子がやる編み物っていうのを確信犯的に広めた感じ。
今までは編物=女子のもの、編むことは難しいっていうイメージがあった時代に、 “ 橋本治の手トリ足トリ ” という本を出版し、編み物は簡単だし男性がやったっていいじゃないと。
彼の作った作品でデヴィッド・ボウイの顔がでっかく編まれてたりとかすごくかっこいいのばっかりで。
ベルサーチが好きで私服は全部ベルサーチなんだけど近鉄バッファローズの帽子ぶしたりとかしてて、それはもうおしゃれで彼への憧れが強かったというのがあるかな。
そういうものあって、編み物はずっとやってみたいなって漠然とありました。

― ファッションとの関わりも大きかったのでしょうか?

ニットはファッションアイテムとしても好きだったなぁ、若いころは頃はニットブランドのインバーランが好きで。
結局高くて買えなかったんだけど、スコットランドのインバーアランのタグに編んだ人のサインが入っていたのがスペシャルに感じた。
いつか自分もケーブル編みのカーディガンとかチャレンジしてみたいです。

― 実際に編み物を始めてみて、最初はどう感じましたか?

単純作業は好きだったし、反復系の音楽も好きだし、だから多分自分に合ってるだろうなと思ってたんだけど、こうやっぱり体がこの作業に馴染むまでがが一番大変だった。

― マフラーを編みながら、どんなことを感じていましたか?

失敗してもとにかく何が起きてるのかがわからないっていうのが一番嫌でした。
直せるにしても、どんな工程が必要でどれくらいの時間がかかるかも全く想像できない。
何が起きちゃったかわからない波がボーって寄せて来て、内からも湧いてくるし、それはなんかこう最近あまり味わっていなかった苦行というか。
うわーみたいになって、でも別にこれノルマがあるわけじゃないし、失敗したからってペナルティがあるわけではないけども。
うまくいかないことに対する怒りや恥ずかしさとかがどんどん出てくる。

ただそれが面白いことに、やっぱりミスも何回か重なっていくと、その失敗パターンが理屈でわからなくても指でわかるというか、角度や視界でわかるというか意図の具合でわかるというか。
多分組織構造としてはまだわかってないけど、このまま編み進めたら間違うぞみたいな気配はどんどん鋭敏になっていく。

自分の失敗パターンは多分8割ぐらいその端っこの折り返しの時に生じてたんだけど、ある時点から1回も間違えなくなった。
別にそれができたからって日常生活がガラリと何か変わるわけじゃないんだけれど、指先でミスを犯さなくなったその感覚を身につけたっていうことはすごく嬉しく達成感もあって。

多分、何でも反復練習続けてると、例えばギターとかも最初コードを抑えるとか難しいけど、1回覚えればみたいな。
それと似たような感じで、続けると体を覚えるってこういうことなのかっていうのが非常に面白かった。

― 5か月かけて編み上げる中で、後半はどんな時間でしたか?

馴染んでからはもうただただ腱鞘炎との闘いだから、痛みさえなければ全然1日何時間でも多分できた。
それぐらいやってる間はラジオを聞いたり、音楽聞いたり、もう本当に後半はミスしなくなった。

最後の2ヶ月間ぐらいは本当に毎日編むのが気持ちいい2時間だった。
結構編み物時間がリラックスタイムとかにもなりました。
慣れてくるとあの車の運転みたいな感じで、音楽やラジオを聴いたり色々考え事しながらできるというか。

1日じゃなくてもいいけど、こう生活のリズムの中に編み物をしている時間があることがすごく心地いいから、これは続けたいと思いました。

― 今後編んでみたいものはありますか?

昔、20歳の頃にロンドンで靴作りの勉強してた時に、仲のいい友人に靴を作って送ってあげたことがあって、数か月後に帰国してその友達の家に遊びに行ったら、プレゼントして3ヶ月半位しか経っていないのにボロボロになるまで履き込まれてて。
すごい嬉しかったって言われて、自分が作ったものを誰かにあげた時の喜ばれた感が思い出されるというか。
編み物を編んでるとこれあげたら絶対喜ぶだろうなみたいな。

― 具体的に、誰かにプレゼントしてみたいと思いますか?

うーん、やっぱり気心知れた人にプレゼントしたいかな。
マフラーは初めての思いがこもっちゃったので自分用にしようと思うんだけど、ギフトとしてあげる人のことを思いながら編んでみたいです。

一番は親へのプレゼントを編みたいなと思いましたね。
自分で作ったものをあげるってなかなか普段出来ないので買ったものになっちゃうけれど、そう考えると編み物って手軽に始められてとても良いなって。

及川さんの編み物マスターへの道はまだまだ続きます✨

Text & Photo:Satoko Yoshida
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