工業糸の縮絨とは??

最近、手編みの世界でも目にする機会が増えてきた工業糸。
もともとは機械編みのために作られた糸で、手芸糸とは異なり、製造時に使われる水溶性の油分が残っています。
そのため、編み上がった直後は素材本来の風合いがまだ現れていません。
そこで大切になるのが、“縮絨”という仕上げの工程です。

これから工業糸で編み物をしてみたい、という方も多いのではないでしょうか。
今回は and more! シリーズの縮絨についてご紹介します。

縮絨とは、簡単に言えば「やさしく手洗いすること」。
ぬるま湯で編地をしっかりと浸し、洗剤を使って軽く揉み洗いすることで余分な油分が落ち、繊維が本来の状態へと戻っていきます。
特にウールやカシミヤなどの動物繊維は、この工程を経ることで空気を含み、ふんわりとやわらかく膨らむのが特徴です。
最後に形を整えて乾かし、軽くスチームを当てることで、編地は見違えるような表情に仕上がります。

一方、先日発売した Cotton × Cotton、Cotton × Silkは植物繊維。
こちらは少し性質が異なります。
繊維同士が絡み合うことはありませんが、水分を含むことで膨らみ、結果として縮みが生じます。
これは「緩和収縮」と呼ばれ、一度落ち着くとそれ以上は縮みにくくなるのが特徴です。
熱を加えると収縮が強まるため、常温の水でやさしく洗うのがおすすめです。
ウールなどの動物繊維に比べて縮率差が小さいため、初めて工業糸を扱う方にも取り入れやすい素材です。

縮絨は難しそうに感じられるかもしれませんが、特別な技術が必要な作業ではありません。
むしろ、日常の延長にあるシンプルな工程です。
けれど、作品によって縮み方が異なるため、事前に試し編みで縮率を確認しておくと安心です。

ひと手間をかけることで糸はぐっと魅力を増し、素材本来の風合いが引き出されます。
編み上げて終わりではなく、そこから完成へと導く大切なプロセスとして、ぜひ縮絨の変化を楽しんでみてください。

なお、ご購入いただいた方へは「工業糸の縮絨方法」の冊子をお付けしています。
より詳しい手順をまとめておりますので、ぜひご覧ください。

Text :Satoko Yoshida

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